TOPページ > コラム:股関節の痛みと腰痛

50歳以降の女性に多い疾患に膝関節の痛みがあります。

中年以降の婦人が痛みを覚えるのは、これまで加齢による関節変形だと考えられてきましたし、現在も、その理屈の上で医療が行われています。

国内にはおよそ数百万人が、何らかの不安や違和感を抱えているのではないかと言はれるほど 腰痛とならんで国民病の一つと言えます。

レントゲン検査で変形が診られれば変形性膝関節症と診断されます。

足の内側の筋肉は衰えやすい、逆に反対側の筋肉が強く働くためにアンバランスからO脚になる のではないか?、、ふくよかな女性に多いのは男性に比べ筋力が弱から、、、など定説があるようですが、それらはあくまでも二次的な要因と考えられ、実際、痩せている女子にも痛みは起こります。

たしかに女性は男性に比べて筋力が弱いのが一因になっているのは確かですけれども、過去に外傷や激しいスポーツで極度に負担をかけた経験がない限り多くは骨盤帯の歪みによります。

変形の膝関節

通常、片側に捻れが生じると股関節にある大腿骨骨頭の静的・動的位置変化が起こります。
それにより寛骨臼と大腿骨頭の運動変化に微妙なタイミングのズレが生じ、それは間接的に膝に負荷が掛かる事を意味します。
大腿骨とは、太もも側、頚骨(すね側)と繋がり、関節面を滑る運動や、スライドする転がり運動の他に捻れ、回旋、螺旋運動などの複合運動が行われています。

それだけでなく、大腿骨骨頭の位置的変化と仙腸関節面での滑り運動の低下は、寛骨や坐骨結節に付着する前側の大腿四頭筋もしくは後側の大腿二頭筋の異常緊張をまねきます。

上述のように骨盤の歪みに応じた身体的変化を生じますので、痛みは生体の防衛反応の結果と言えます。

通常、患者さんに多いパターンが寛骨前方変位による大腿二頭筋の緊張で、これはSLR検査が陽性になり、仙骨側からのソフトな手技でだけで即座に可動性が改善されることからも明らかであります。

どうして大腿二頭筋が緊張するかは、簡単に言うと、前方変位した寛骨が歩行時や立位に重心の垂直軸方向に応力が発生するからです。
つまり後方への力が発生します。(詳細にご説明すると専門的になるため省きます。)
この応力は坐骨結節に付着する大腿二頭筋に直接負荷が掛かることになります。

その他、腰椎前湾減少と股関節の捻転応力が生じます。(捻れパターンにより全く逆の応力が生じます。)

SLR検査は、整形では坐骨神経の状態を確認する検査になりますが、仙腸関節機能異常の検査項目でも重要な一つになります。

異常緊張を起した大腿二頭筋は、それに連なる下腿三頭筋の緊張を徐々に引き起し、足を真っ直ぐに伸ばす動作が困難になっていきます。

代償運動により身体の変化は、捻れが生じてからの年数に比例している事が多いので、下腿三頭筋も異常緊張から膝の痛みを生じているなら、ある程度の年数が経過していると予測できます。
この状態が長期に渡ることで、筋力は徐々に弱体化し、膝を支えきれなくなってくる悪循環へと陥ります。

根本的には、骨盤帯の捻れによる仙腸関節機能不全から痛みが生じているために、これを解消しない限り変形は進んで行くことになります。

上記のように、一通のパターンを大雑把に記載しましたが、個人差が大きく、お仕事や生活パターンなど絡み非常に複雑な経過を辿っていくために、実際の膝変形パターン は様々です。

代償運動によりどこに痛みがでるかは人それぞれで、腰の痛みも併発する方、そうでない方もいらっしゃいます。

腰痛を併発しない人は、脊柱・股関節・下肢等で仙腸関節機能低下を上手く代償出来ているからであります。

一旦、変形が現われ磨耗により、О脚や反張膝が目視でもハッキリわかるようなら根本的に治す方法は現代医学や、いかなる民間療法においても存在はしません。

筆者の経験になりますが、О脚が明らかで、膝変形のため患側に重心を上手く乗せれないほど酷い例では、 仙腸関節を正常にしても、捻れによる身体的変化に対応した結果が高度なО脚であるため、正常な状態に戻すと変形した膝関節や下肢からみれば、、異常な状態を意味してしまいます。

場合によっては矯正後に痛みが緩和しても腰痛がおきてしまったりします。
これは変形した関節に重心を乗せられない下肢の影響で、矯正前状態に徐々に引き戻す応力が発生するからです。
そうすると腰が治まって、今度はまた膝に痛みが生じてきたりします。

筆者自身は、変形が高度な患者さんには、上記説明のように一回で寛骨を戻してしまうよりも、仙骨側から 仙腸関節の滑走を徐々に行ったほうがいのではないかと考えています。
少しつつ仙腸関節の滑走を正常にしたから と言って、変形した関節が元に戻らないのですが、急激な変化を避けて、少しでも変形を遅らせるようにコント ロールしていくしかないのでは、、、と感じています。

とにかく変形が明らかになってからでは、打つ手も限られてきますので、疼痛や違和感がある、正座が しにくい、階段の降りると痛みを感じるなら、早期に整形外科で診断をもらい、それから仙腸関節を診てくれる病院や施術所や治療院で捻れを治すことが肝心です。

一般的な手当てだと、シップや痛み止め、ヒアルロン酸注射やブロック注射になり、物理療法では、低周波やマイクロなどになります。
痩せた大腿四筋を鍛える運動療法も、大変根気のいる訓練になるために、殆んどの患者さんが長続きしないばかりでなく、 骨盤由来の痛みには殆んど効果がありません。