TOPページ医師や臨床家による手技療法 > ペルビックアプローチ

骨盤に関する専門書の中でも骨盤帯に特化したものは脊柱骨盤マニュアルセラピーもしくはペルビックアプローチになります。

この専門書はアメリカの整形外科医で独創的な臨床医でもあるDiane lee氏の著書になります。

上記の二冊、題名は違いますが著者は同じで内容もそれほど変わりませんので、その中でもペルビックアプローチを取り上げていきます。

翻訳されている内容自体がどうしても専門用語ばかりなので、肝心な手技の方法のところで、一部不適切な記載も見受けられるのですが、国内においては骨盤帯に特化したものは御座いませんので、腰痛に効果をあげる本書について、その運動学や検査法、腰痛に対する矯正法を簡潔に解説していきます。

運動学

骨盤の真ん中にある仙骨のうなずき運動(前方方向)で関節面は下方から後方へ滑り、仙骨が起き上がる時には、関節面に対して前方から上方へ滑ります。

この関節運動の可動性は非常に少なくおよそ1~2mm程度と考えられています。

うなずき運動を寛骨の動きから見ると、前方回旋時は体幹の前屈時に起こります。

骨盤の左右をなす寛骨が前方へと回旋すると仙腸関節面では下方から後方へと滑ります。

寛骨が後方へ回旋するのは体幹の後屈時などです。この時、仙腸関節面に沿って前方から上方に滑ります。

これも仙骨のうなずき運動と同じ関節運動学的な動きであるとされます。

仙骨のうなずき運動(前方への運動)は仙骨上部が前に動いて骨盤内に入りこむ運動で、この動きは骨間靱帯と仙結節靱帯により制限されている。

仙骨の起き上がり運動では、骨間仙腸靱帯や長腹側靱帯などによりその運動が制限されます。

仙腸関節面の起き上り運動が何らかの原因で制限されれば、それらを制御している筋系や靱帯に影響を与える事は容易に想像できます。

起き上がり運動やうなずき動作の低下は仙結節靱帯の緊張や大腿二頭筋の緊張を高め、さらに下肢につらなる下腿三頭筋の緊張を強める結果につながります。

他動的な骨盤帯のテスト方法

骨盤帯の検査には上前腸骨棘、上後腸骨棘、坐骨結節の動的及び静的位置関係や、下肢の自動及び他動機能検査、仙腸関節の閉鎖位での挙上力や、各筋肉の緊張状態など多様な検査項目があります。

骨盤帯検査

その他にも神経学的検査や姿勢、歩行、股関節、腰椎なども検査していきます。

それらの検査から、仙骨或いは寛骨がどの方向に変移し、可動性の増大や減少いずれかにより腰痛が生じているかを識別していき矯正を施します。

骨盤帯での検査では必須項目にある、上前腸骨棘、上後腸骨棘や坐骨結節など体幹の屈強・中間・伸展位での評価、背臥位や腹臥位で付着する靱帯や筋肉の緊張状態なども考慮していきます。
また、上後腸骨棘の内側にある仙骨部を触診して、寛骨に前方及び後方の回旋を加えていき、仙骨の下後方すべり運動や、前上方すべり運動の質や変化を評価していきます。

その他、骨盤帯の安定性検査で前後・上下方向の抵抗能力を左右比較 して評価していきます。

こられの検査から腰痛を起している仙骨ならびに寛骨の状態を判定し5つのパターンを見分け矯正を決定します。

  1. 寛骨の上方・前方回旋
  2. 寛骨の上方・後方回旋
  3. 寛骨の下方移動
  4. 寛骨の後方回旋、前方回旋
  5. 仙骨の前方、後方並進など

腰痛に対する徒手療法

腰痛に対する骨盤矯正は寛骨もしくは仙骨に対して手技を加えていきます。
基本的には高速度-低振幅の手技であり、 カイロと原理は似ていますが方法は異なります。

例えば、寛骨が仙腸関節面に対して上方・前方回旋に変位している腰痛と仮定すれば、この機能異常は仙腸関節の動きの軸よりも後方にある垂直力が、関節の抵抗を上回った時に起こると考えられます。

前上方面に圧迫され関節面を減圧するために、患者さんをうつ伏せ(腹臥位)に寝かせて、 前方回旋している寛骨の角度と大腿(足)のラインが一直線になるように足首を保持した状態で、 高速-低振幅の牽引を加えていきます。

寛骨が仙腸関節面に対して上方・後方回旋に変位している腰痛であれば、この機能異常は仙腸関節の動きの軸より前方にある垂直力が関節抵抗を上回った時、障害のある側では後方回旋し、坐骨結節は上方へと変位する。

寛骨の上方・後方回旋の圧迫をとるために 寛骨を前方に回旋させながら上方に屈曲させるための矯正が必要となります。

セラピストは、矯正を施す側の足首を保持し、 股関節を伸展させ、大腿のラインが寛骨の後方回旋と一致するように内旋位にさせておきます。

下肢を介して仙腸関節に高速度・低振幅の牽引を加えることで圧迫を取り省きます。

圧迫が取れれば左右骨盤の正常な動きと位置が確認できます。

その後は骨盤ベルトによる閉鎖力の向上で、軟部組織がしっかりと引き締まれば、その後はリハビリテーションで再発を防いでいきます。

寛骨の下後方による腰痛では通常のモビライゼーションによる手技により後下方すべりを回復させていきます。

つまり骨盤の腸骨稜にポイントをおいてセラピストは寛骨の前方回旋方向に力を加えていきます。
この時に患者さんには 反対方向に抵抗するよう力を入れてもらい、その状態で5秒間保持します。

仙骨の後方並進による腰痛では、その圧迫を取り省くために、仙骨低を圧迫しながら寛骨を持ち上げるモビライゼーション手技を行います。