TOPページ基礎知識 > 仙腸関節メカニズムと構造

はじめに

仙腸関節が腰痛を起している主な原因と考えられるようになって、まだそれほどの年月は経過していません。

過去において、動かない関節であると考えられていたために、私たちの学生時代でもそのように教わっていました。

現在では、一部の医師や施術家などが、この関節に着目し急性腰痛や慢性腰痛に対しても高い効果をあげているのはよく知れています。

しかし、未だにこの分野での研究は殆んど進展していない状況で、骨盤の歪みを矯正する手技、或いは、仙腸関節に対するブロック注射により腰痛が一定期間治まることが臨床的に知られています。

現在でも、腰痛と骨盤帯との因果関係を立証するまでには至っていないと言えます。

この関節面をご覧頂くと、水平面ではなく、斜め方向に近い関節であるのが理解頂けるかと思います。

これまでの理論では、上からの荷重と下からの荷重を支えあうには水平面に近いのが理想で、斜面では二つの荷重を受け支えるのに不都合に出来た関節でないかと考えられがちでしたが、人間が活動する上で衝撃を緩衝するためには、理想的な関節面であると言えます。

仙腸関節

脳脊髄液の揚水機能があります

重要な働きの一つに仙腸関節運動による脳脊髄液の揚水作用があると考えられています。

脳脊髄液は脳内にある脳室を経由して脊髄を潤し循環するにあたって、立っている状態では頭部から下へ重力移送作用により下降できますが、上部還流には脳室内の揚水作用だけでなく、運動時や呼吸時における仙腸関節面でのうなずきや起き上がり運動によるポンプ作用が重要であると考えられます。

吸気時には仙骨は起き上がり運動を、呼気時にはうなずき動作と、一定のサイクルによりその役目を 果していると考えられます。

そのため、この機能が何らかの原因で上手く働かない場合に腰痛など様々な障害が起こりうる可能性があります。

正常な歩行と力学伝達を行う働きがあります

人間が直立し歩行することと、上下からの圧力を正確に伝達する事が仙腸関節のもうひとつ機能です。

解剖学的に、平面関節とされ、可動性は殆んどなく動かない不動関節と考えらています。

実際、多数の靱帯や筋で補強されており、動かそうとして引っ張ってたり 強く押えた程度では、まず動くことは考えられません。

この関節は平面ではく凹凸になり、その形状は個人差もあり様々ですが、股関節を挟んで傾斜面をもつことで、上からの重力を脊柱か骨盤リングを経由して両下肢に、下からの抗力を両足から骨盤へと 導いています。

上からと下からの圧は閉まる力(閉鎖力)を増大させ、それにより正確に力学伝達が行われ、 また、関節面の正常な滑走が可能となり歩行を安定的に行えるようになっています。

強靭な靱帯で補強されている接合部

仙腸関節面はL字型に近い形状をしているが、一様でなく個人差により軽度のL型や真っ直ぐに近いものまで様々な例が存在する事が知られています。

関節面は、腸骨耳状面ともに多数のへこみや凸凹など不規則な形態を呈し、他の関節と比べてみても ピッタリはまるような構造ではなく、一見不適合な関節に見受けられています。

この関節は、前後にある強靭な靱帯によりしっかり補強され、その代表的な靱帯は7つあります。

  • 前仙腸靱帯
  • 骨間仙腸靱帯
  • 長背側仙腸靱帯
  • 仙結節靱帯
  • 腸腰靱帯
  • 胸背靱帯
前仙腸靱帯

前仙腸靱帯は、骨盤を補強する靱帯の中でも弱く厚みもそれほどありません。

この靱帯は過度な関節への負荷により弱体化し腰痛の原因になるとされています。

骨間仙腸靱帯

骨間靱帯は最も強く外側仙骨稜と腸骨粗面とを結び三層に区別することが出来ます。

長背側仙腸靱帯

おしり側にある上後腸骨棘(左右にある骨のでっぱり)から腸骨稜の内唇に付着しているのが長背側仙腸靱帯です。

この靱帯は、触診する事が可能で非常に厚い事がわかります。

仙骨の起き上がり運動で長背側仙腸靱帯は緊張し、仙骨のおじぎ運動で弛緩します。

仙結節靱帯・仙棘靱帯

仙結節靱帯は、外側・内側・上部と三つの部分で構成されています。

外側は、坐骨粗面と下後腸骨棘を結び、内側部は仙骨外側隆起ならびに下位の仙骨と尾骨に付着して います。

仙棘靱帯は、仙骨と尾骨を結んでいます。

腸腰靱帯

腰と仙骨や腰椎の安定に働くのが腸腰靱帯です。

腸腰靱帯は個人差があり形状に違いがありますが、腰椎4番より腰椎5番の横突起から始まり、下方で仙腸靱帯と腸骨稜に付着しています。

この靱帯は5つの部分から構成され上部・下部ともに腰椎5番の横突起から始まり上部は腸骨稜に後部は腸骨粗面に付着しています。